2016年11月4日金曜日

ドラゴンクエストの勇者は剣を振るうか?

この日は今年で一番、フットワークが軽く、気軽に女の子たちに話しかけた日だった。
家を出るまでは心が重かったのだが、店にたどり着いてからの俺の心は、羽のように軽かった。
どんなに女の子たちがそっけなくても、無視されても、次々と次の相手に話しかけていく。そして、そのたびにまったく落ち込んでいない自分がいた。
なぜなら、出会いの場なんて「こんなものだ」「数をこなしてなんぼだ」とポジティブな諦めができていたからだ。
それよりも大事なのは、より多くの経験を積むこと、チャンスを逃さず一瞬で話しかけることだとわかっていたからだ。

ここから得られた教訓は「家を出る前の気持ち」なんて、あまり関係ないこと。
どうせ店までたどり着けば、女の子たちもたくさんいて、自分のテンションも上がってくる。
家を出た時はテンションが低くても、店に辿りついたときもそうとは限らない。
逆に、家を出た時にどんなにテンションが高くても、店に着くまでにいろいろ考えてしまって、テンションを下げてしまうことだってある。
つまり、気分が乗らない日も、とりあえず店に行ってから考えれば良い。考えるのはそれからだ。

「今日は一杯だけ飲んで帰ろう」なんてハードルを低めて、自分を説得しながら、店にまで足を運ぶ。
そして「帰る前に、一組だけ女の子に話しかけてみようかな」なんて考える。
1か0じゃない。All or Nothingは有害な思考だ。
「大成功」から「失敗」までには実は100段階ぐらいレベルがあって、何もしないのが一番の失敗だ。
この階段は登らないよりも1段登る方が偉いし、100段目までいけなくても、20段ぐらい登るだけでも偉い。
君が完璧主義な性格なら「中途半端は嫌だ」と思うかもしれないが、それでは俺たちは何もできない。0点よりは1点を。1点よりは2点を取っていこう。

ところでこの日、大きく俺の気分に影響していたのは、ナンパ関係の本を日中に読んでいたことだ。
Amazonで「ナンパ」と検索すると1位に出てくる「究極の男磨き道 ナンパ」という本だ。
これはレビューの評価も高く、本当に良い本だ。
他のナンパの本のように、下品なところがない。あとは、他の本より鮮明に「初心者から中級者、そして上級者になるための階段」が描かれている。
俺はこの日、路上でナンパをしたわけではないが、十分に参考になった。

そしてあとひとつは、ナンパの実録音声を聞きながら店までの道を歩いたことだ。
俺は今まで「ナンパの音声」というものを聞いたことがなかったのだが、これがすごかった。
TSUTAYAで会った就活生の心をどんどん開いていくというものだった(たぶんGoogleで検索すれば上位に出てくる)。
毎秒毎秒の会話は小気味よく絶妙なトーンで返されて、すべてのセリフにアクセントをつけていき、常に女の子を笑わせて、なおかつ惹きつけるような感じだ。
おかげで「女の子と話す時は、こういう感じに興味を引けば良いんだ」というイメージが、店に着くまでには描けていた。

今までナンパの音声を聞いたことはなかった。それは何故か。
おそらく自分は無意識に「まったく知らない世界」を知るのが嫌だったのだと思う。
「世の中にはこんなにうまくやっている男がいるのか」と知って、自分とのギャップに愕然とするのが嫌だった。
だから機会がある時も避けていたのだが、ナンパは文字よりも音声の方が、ずっと「伝わってくる情報量」が多い。
これは今後、活かしていかない手はないなと思った。
もちろんこれは俺が出会いの場に通い続けたり、ナンパ本を読んで一定の情報を得ているからこそ、この音声の中にも豊かな情報を見出せたという性質の者だと思う。経験は裏切らない。

俺は昔からどの分野においても独学が好きで、人に学ぶということが嫌いだったのだけれど、それは実は、自分の実力に気づくのが嫌なだけだったのかもしれない。

閑話休題。

ところでこの日は、前にこの店で会った紳士な男が話しかけてくれて、それも良い弾みになった。
男二人で行動したが、まったくパートナーに頼ることなく、自分から行動ができた。
男二人でいても、パートナーに依存することがない。
男同士で相談してから誰かを狙うとか、「パートナーが何とかしてくれるだろう」と期待して、ぐずぐずとチャンスを逃すとか、そういうことはない。チャンスを見つけたら、常に自分から行動する。
これも今までの経験から導き出されたルールだ。

こうやって、ひとつひとつの反省が、次の日に活かされてゆく。
失敗を経験した時は痛いが、このように反省は必ず次の糧になる。

テンポよく、テンションは高く、明るく、落ち込まずに、いろんな女の子に話しかけていく。
ほとんど「3秒ルール」を守れていたように思う。
いつもなら話しかけないような、店の端っこで話している、気の強そうな女の子たちにも話しかける。(経験値は多ければ多いほど良い)
「女子会中ですかー?」と話しかけると、今までなら完全に無視されていたようなケースでも、相手はちょっとだけ怒りながら「女子会中だからー!」と返してくれた。そんなに悪い感じじゃなかった。
「良い断られ方をする」ということ。そして、それさえ楽しめるとうことは、良いマインドセットが出来てきているということだ。

あとはたとえ完全に無視をされても「あ、聞こえてないみたいだ!(笑)」と女の子に聞こえるように言ってみたり。
嫌味じゃない捨て台詞を残すことができた。
こうやって「滑ったアプローチ」や「つれないリアクション」さえコメディ仕立てに楽しんでしまえば、むしろ断られるたびにわくわくしてくる。少しずつテンションが上がってくる。
(「滑った自分」「冷たい女の子たち」という表現じゃないところに注意)
これが「究極の男磨き道 ナンパ」に書かれていた「ナンバーズハイ」というものなのかもしれない。

そしてあまり可愛くはなかったけれど、三組の女の子たちからは好意的な反応が返ってきて、そのうち二組とはけっこう楽しく話した。
そして結果としてはわずかだが、一組の女の子たちとLINEを交換した。

90分ほどは話していただろうか。その間、相手の興味を途切らせないように、最適を心がけて行動する。
たとえば、目の前の女の子に集中する。他の女の子をキョロキョロと眺めたりしない。
自分の集中力が途切れてきた瞬間に気づく。そしてまた復活させる。
自分が「焦って話そうとしている」と気づいたら、心のバランスを整える。
質問をしてばかりじゃなく、会話の中にさりげなく自己開示を忍び込ませる。「血液型オープナー」「妹オープナー」を使う。
恋愛の話をする。女の子が自分から話し始めるように仕掛ける。
女の子が場所を変えてもそれを「拒絶のサイン」だと諦めない(聞いてみると、店内のもう少し空いた場所に移動しただけだった)。
基本的に酒はおごらないと決めているが、話の自然の流れでおごる感じになったら、ルールを破る。
次のデートの話をする。自分が知っている面白い店について話す。

こう振り返ってみると、多くの技術を投入している自分に気づく。
人と人との会話は競技であり、行動なゲームであるということが身にしみて感じられた。
俺も会話のレベルは高くないけれど、もしもっとコミュ力の低い男からみたら「なぜ盛り上がっているのか」が分からないことだろう。
だが盛り上がっているのには理由があり、ちゃんと秘密があるわけだ。
会話は技術。つまり、もっと多くのコツを身につければ、俺たちはもっと女の子を引き付けることが出来る。
なぜなら「偶然」ではなく「技術」だからだ。技術なら磨くことが出来る。

たとえば女の子を100倍盛り上げられるのは、決して男としての価値が100倍高いからでも、生まれつきの才能が人の100倍あるからでもない。単に「他の男の100倍の、秘訣を知っている」からなので。会話という情報空間では、物理空間と違い、この倍率はどこまでも伸ばしていくことが出来る。
ちなみに、会話レベルの向上、これはどちらかといえば「垂直的にレベルを鍛える」というよりは「水平的にいろいろなバリエーションを増やしていく」というタイプのスキルだと思う。出せる手を増やそう。もっとバリエーションを作ろう。

まだまだ美女を捕まえられたわけではないけれど、この、男が8割の店内では、まあ良くやった方だろう。
これがもし俺が「美女じゃないと話しかけない」「好みじゃないと話しかけない」という行動パターンを取っていたとしたら、ここまでの学びはなかったはずだ。
俺はまだ初心者だから、今のフェーズでは量をこなして質を高める必要がある。
一時的により多く失敗するようにはなるかもしれないが、俺は成功率なんか気にしない。それよりもまずは経験値をあげることが最重要だ。

たとえば、ドラゴンクエストでレベル1の勇者が「スライムにどれだけのダメージを与えられるだろう」「7のダメージだろうか」「8のダメージだろうか」などと「思い悩ん」で、ずっと剣を振るうこと、街を出ることさえためらっていたら、なんの経験値も得られない。
ドラキーを倒せるようにもならないし、動く石像なんか夢のまた夢だ。
だから「今のレベルの自分」の「ちっぽけな成功率」をカウントして気に病むんじゃなくて、今はもっとフィールドに出かけて、剣を振るって、経験値とゴールドを持って帰るべきなんだ。
どうせ勇者が死んでも神父さんが復活させてくれるし、ゲームは何度でもやり直すことが出来る。

そしてこのゲームの良いところは、何回失敗しても「経験値」はちゃんと蓄積されていくってことだ。
失敗を重ねている間は、それが本当に自分の経験になっているのか、まるで分からない。まったく無駄な努力をしているように感じてしまう。
だけど無意識レベルでしっかりと経験値は蓄積され、あるときそれがお互いに結合しあって、一段階レベルが上がることになる。
安っぽい言い方をすれば「あたらしいじぶんをみつけた」ってやつだ。
もちろん、惰性的に通い続けるだけではなくて、意識的に課題を見つけて取り組むことはもっと大事だ。
(課題を見つけるほど面白いことはない。そいつは成長への大いなる踏み石だ。「欲しいもののためなら、時間や頭を使うことを惜しまない」って男は、やっぱり強い)

ところで俺も、普通のナンパに対する興味は募るばかりだ。
なぜなら立ち飲みBARというのは街コンや婚活パーティよりはハードルの高い場所かもしれないが、あくまでも「ナンパ待ちの女の子」がいて、男は守られている安全な場所だからだ。
だけどそれだけ競争率は高いし、選択肢は限られてくる。

こんど、BARにいる男をつかまえて、道にナンパにでも出てみようか、ということを思った。
これも「ひとりで始めて1日で成功しなければいけない」というようはゼロイチ思考ではなくて「他の男と、酔い帰りに、数組の女の子に話しかけたら成功」というような、ハードルの低いもので良いんだ。
少しずつ浅瀬から。「これなら俺にもできる」というところから体を慣らしていこう。

おっと、思ったよりも多くのことを書いてしまった。
それでは君にも幸運を!

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余談:

この日のパートナーは女慣れしていない人だったんだけど、彼は俺よりも良いチャンスを見つけて、愛想の良い子と連絡先を交換していた。

これにはほんのちょっとした失望も感じそうになったが、彼を祝福して、冷静に状況分析をすることにした。
実は俺自身、これはまったく逆のパターンを今までに経験している。
男の相棒がが女の子たちに切り込んで、盛り上げて、その横で俺は余裕のあるクールな男として立ち、ちょっと「美味しいところをもらう」というパターンだ。(女の子から見た印象の話ね)

だがこの日は俺が「切り込み役」だった。
なぜなら「美味しいところをもらう」ことにはほとんど再現性がないからだ。
自分自身が女の子を盛り上げて、なおかつ惹きつける力をつけるには、クールに格好つけてはいられない。
どんどん女の子に切り込んで、自分の経験を磨いていく必要がある。

こうやって男は持ちつ持たれつで、良い経験を増やしていければ良いと思う。
そう、どんな男にでもこうやってチャンスはやってくる。
最も重要なのは俺や彼のように「フィールドに顔を出し続ける」ことだ。
これを習い事の練習だと考えてみよう。そうすれば「今日も稽古をすること」なんて、ほんの日常であり、取るに足らないものであることがわかるはずだ。


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