2016年11月14日月曜日

今日のジャムをパンに塗る男

前に立ち飲みBARで出会った女の子と待ち合わせて、カフェに行く。
近くで見ると本当に表情が可愛い子だった。
美容部員。自分にお金をかけている子。この日も美容室、ネイルと、顔のレーザーの何かの三箇所に行ってきたらしい。
だけど自分に自信がない子。自信がないからこそ自分磨きをしている子だった。

俺自身は、この日はそもそもあんまりモチベーションが高くなくて「家に連れて帰ろう」という気持ちはまったくなかった。
外出かけていくことさえ面倒くさかった。

そして最近の俺は、がっつきすぎて失敗していたから。ちょっと話の練習をするぐらいの気持ちだった。
だけど彼女は夕方ながら、腹が減ったから食事をしたがっていた。だからすぐに他の店に行くことにした。
カフェでのお会計は1000円。俺が支払いをすると、彼女は500円をくれようとした。
ちゃんとお金を出す子は好きだ。
俺はそれを受け取らずに「次でいいよ」とごく普通の返しをした。

カフェで1時間だけ過ごす予定が、また行きつけのBARに飲みに行くことになった。
夜は友達と予定がある彼女だが、ふたりともかなりハイボールを飲んだ。
俺のグラスがなくなったら、彼女がすぐに次をすすめる。彼女もハイボールがなくなると、すぐに次を注文する。
16時に待ち合わせて、すぐに時間が経って行った。
わりと本気に口説きにかかる俺。恋人コースを狙いすぎだ。
「この子なら付き合っても良いな」と思ってしまった。

「99%の女は自分から誘わないけど、1%の人だから誘った」とか。
「もし仮に、いま付き合おうと言われたら、どうする?」とか。
「君が真面目な人かどうか確かめにきた」とか。(彼女自身が「真面目な人がいい」とはっきり言ったので、その逆暗示)
色々な言葉で落とそうとする。

これがウケたかというと、かなり滑ったような気がする。だけど堂々と態度を変えることなく、口説き続けた。
アプローチしないでふられるより、アプローチして振られる方がずっとましだ。
と言っても、お酒の力をかなり借りていた。

彼女の髪とうなじをなでると、まったく抵抗はなかった。
会話が途切れると「趣味は何?」「血液型は何?」と彼女から質問をしてきた。悪い感じじゃない。

彼女いわく、彼女の元彼は「ミス・ユニバース」と付き合っていたお金持ちだったらしい。
だけど「お金持ちであることを誇示するのが嫌な男」だったから、誕生日プレゼントは「手書きの絵」だったそうな。
そんなことあるか? たぶんその男、かなりの嘘つきだったんじゃないだろうか。

しかし自分のペースで飲むのではなく、どちらかというと飲まされている俺。
こういう時はあんまりよろしくない。
そしてお会計は1万円に。今思えば彼女は何も支払わなかった。

そしてLINEの返事はない。なんだかんだいって自分にお金をかけているし、男への評価基準は高そうだ。
カフェで1時間過ごすはずが、BARで過ごして会計は全部俺持ち、数時間で1万円、LINEの返事はない、飲まされてカロリーだけ摂取する、次の約束も決まらない、家にも連れ込めない。なんか本当に中途半端な時間だった。

カフェではちゃんとお会計を支払おうとしたのに、BARではまったく財布を出さなかった彼女にも怒りを覚えた。
そして何より、あの雰囲気で途中で家に呼んだら、そして夜の予定さえなければ、家に連れて帰って抱けたんじゃないだろうか。
むしろ女の子は無意識のレベルでは抱かれたがっていたんじゃないだろうか、と思うと、本当に自分の行動が悔しく思えて、頭の中がぐるぐると回っていた。

彼女は、夜に予定はあるけど「待ち合わせの時間は特に決まっていない」と言っていた。
彼女からトスを上げてくれていたのに、俺がアタックをミスっていたんじゃないだろうか、と悔やんでしまう。
もともとモチベーションの低い日だったとはいえ、途中からモードを切り替えておけばよかった。

ひとつ反省としては、最初の店で「次でいいよ」なんて言うと自分から「会計は全部男持ち」って宣言しているようなものだと思った。
一番最初に、お会計をちゃんと貰っておいた方が良い。
あとはどんなに酔っていても、最後にお会計をちゃんともらった方が良い。

というか、女の子のペースに乗せられて飲みすぎない方が良い。
だらだらと飲み続けずに、1時間という時間制限を作って、その時間が経ったらルールとして自宅に誘った方が良い。
もし1時間でダメそうなら、そこで別れる。また二度目に誘う。
「もっと飲んだらいいことがあるんじゃないか」と思って、だらだらと飲み続けるのはだめだ。

今まではまったくルールがなかった。これからは、とある口説きの本にも書かれている通り「1時間飲んで、自宅に誘う」というルールを作って、律儀にそれを守っていこうと思った。
それなら「家に誘えなかった」という後悔もなくなるし、1時間という枠の中で毎回、頑張ることができる。そして飲んだお会計も高くなりすぎない。毎回、同じ時間の中でゲームをすることによって、より正確なフィードバックを得ることができるはずだ。

しかし女の子を飲みながら口説くのは初めてじゃないのに、まだまだ口説き方がド下手な俺だ。
というより「だらだらと飲んでしまう癖」が一番よろしくないと思う。

俺が家に連れ込めた女の子は皆、飲みはじめてから1時間、2時間では自宅に来ていた。
そこでエッチをした子もいるし、しなかった子もいる。
だけど飲み始めて1時間、長くても2時間というのは、話も盛り上がっているし、酔いもいい具合で回っているし、ちょうど良い時間なんじゃないだろうか。
人の集中力は90分が最大だという俗説もあるように「一番楽しい時」に家に呼ぶのが一番良いのかもしれない。

たぶん口説き文句とか、トークが悪かったわけではないと思う。
むしろ「口説かずに自宅に呼んでしまう罠」を避けて、モチベーションが低い中で、ド下手ながら、ちゃんと丁寧に口説こうとした。
だが自分の行動面で、大きな反省のある日だった。ちゃんと可愛い子だったのに。

こうやってひとつずつ課題を見つけて、痛い思いをして、だけど具体的な反省点を見つけて、次に
女の子が「次の予定はない」とか「待ち合わせの時間は決まってない」とか、終電を聞いても「遅くなりすぎなければ」とか言ったら、それはぐいぐい押していくチャンスなのだ。
引いてはいけない。「今日はガツガツせず次に繋げよう」とか「今日は家に連れて帰ろう」とか、二つの選択肢を持つんじゃなくて、常に「家に連れて帰ろう」というところを目指すべきなんだ。
直感的にその方が良いような気がした。
少なくとも、最終地点としてそこを目指した方が良い。

今日は女の子を「恋人にしたい」と思って、弱気で軟弱なコースを選んでしまった。
「連れて帰れるか」「帰れないか」「どちらになるか」と悩むのじゃなくて「今日は連れて帰る」「そのために口説く」「そのためにトーク、雰囲気の方向を誘導する」という強い意志を持つ必要がある。

逆説的だが、下心を出していかなければ、女の子の心をつかむことはできないように思う。
だっていちどエッチをしてしまえば、その子の心をつかめるチャンスも10倍には跳ね上がる。それはたとえ、勢いでも良い。きっかけはなんでも良い。
金を払わされ、時間を使われるだけの男になるのは、もうまっぴらだ。
強い意志を持って、飲み始めてから1時間後には、女の子を家に呼ぶことにする。

それじゃあ、君にも幸運を。

---

ところでこの日は、その後も色々なことがあった。
いつもの立ち飲みBARに行く途中に、通話で男友達の恋愛相談を受けた。
そして酔いながら路の女の子二人に話しかけると、猛烈な勢いで苦手行った。
立ち飲みBARでは、知り合いの男が既に女の子を連れて帰っていた。(二人組の片方がそれを教えてくれた)

そして俺も、ひとりで来ている彼氏持ちの女の子と手をつないだりして、イチャイチャした。
「今日、二人で飲みに行こう」と誘うと、その誘いには乗らず、彼女は電車で帰っていった。帰りも手をつないで帰った。
店の中で、頰に、そして口にキスしておけば良かったと思った。
いつも二人組に対して一人でアプローチしている俺だが、ひとりで来ている子の反応は穏当に良いなと思った。

俺は酔いながら、飲みに誘っていたまた別の女の子に、俺はLINEで「ま、いっかw」と送っていた。
おそらく、たぶん既読がついてから半日しても返事がないので、どうでも良くなったのだろう。
別に良いのだけど、こうやって全てのチャンスを自分から潰していったような日だった。

そして1年ぶりぐらいに、昔あそびに行った性格の悪い美女からテンプレみたいな、変なメッセージが届いた。
「こんにちは! クリスマスに彼氏から彼女にプレゼント送るとしたら、何が良いですか?」だって。
アムウェイでも始めたのか?「それ100人に送ってるっしょ」というと「ばれたかw」と帰ってきた。
利用できるものは利用する性格、相変わらずだね。

なんか、ほんとに色んなことがあって頭の中がぐるぐるしていた。
だけど朝が来れば、もう今日は別の日だ。まったく昨日とは関係のない、新しい日。
俺は昨日のジャムではなく、明日のジャムでもなく、今日のジャムをパンに塗る男だ。

0 件のコメント:

コメントを投稿